日本橋くされ市とは
日本橋くされ市とは、東京都中央区の日本橋大伝馬町で初夏に開かれる市です。秋の風物詩として知られるべったら市の前身にあたり、江戸初期から続いていたとされる古い市を、2015年に「べったら市地域振興会」が約400年ぶりに復活させました。大伝馬町の通りを歩行者天国にして、地元の老舗や一般の出店者が品物を並べる「ブロックマーケット」の形で開かれます。
「くされ市」という名前の由来
少し物騒に聞こえる「くされ(腐れ)」とは、いったい何でしょうか。じつは由来にはいくつかの説があります。よく知られているのは魚にまつわる話。日本橋の魚問屋が売れ残った生魚を持ち寄って安く売り、その生臭さから「くされ市」と呼ばれたという説や、大伝馬町の伊勢商人が運んできた鯛などが遠い輸送で傷みかけていたため、そう呼ばれたという説です。
このほか、神様への供え物や売れ残りの品、いわばガラクタを安く売り買いする市だったから、とも伝えられています。どの説にも共通するのは「余り物や訳ありの品を持ち寄る、気取らない市」という性格。名前の荒っぽさが、かえって庶民の市のにぎわいを思わせます。
べったら市との関係
くされ市とべったら市は、もとをたどれば同じ市です。秋に日本橋大伝馬町で開かれるべったら市は、寳田恵比寿神社の祭礼に合わせて立つえびす講の市で、その古い呼び名こそが「くされ市」でした。明治のころに浅漬け(べったら漬け)を売る店が市の中心になり、「べったら市」の名が定着していったとされています。
つまり、今に続く秋のべったら市が「現役の名前」だとすれば、初夏のくされ市はその古名をよみがえらせた市。同じ大伝馬町の通りで、秋と初夏に二つの市が立つ形です。なお会場の「日本橋」は東京都中央区のことで、大阪の日本橋(にっぽんばし)とは関係ありません。
いつ・どこで楽しめるか
復活後のくされ市は、毎年初夏(5月ごろ)の日曜に大伝馬町の恵比寿通りで開かれています。最寄りは東京メトロ日比谷線の小伝馬町駅、3番出口からすぐ。古道具や雑貨、飲食の出店が通りに並び、街歩きのついでに気軽にのぞけるのがこの市の楽しみ方でしょう。
Topic「くされ市」はどうして「べったら市」に名前が変わったの?
強烈な「くされ(腐れ)」という名前が、今では「べったら市」というやわらかい響きに変わっています。きっかけは明治のころ、市で人気を集めた浅漬け(べったら漬け)でした。縄でつるした浅漬けを振り回し、表面のべたべたした糠(ぬか)を通りすがりの人になすりつけようとする悪ふざけが流行したのです。そこから「べったら、べったら」とはやし立てる声が市の名物になり、いつしか「べったら市」と呼ばれるようになったと伝えられています。古名の「くされ市」が初夏の市としてよみがえったのは、こうした名前の移り変わりがあってこそです。
日本橋くされ市に関するよくある質問
- くされ市の見物にお金はかかりますか。
- 通りを歩いて市をのぞくこと自体は自由です。古道具や雑貨、飲食を買う場合は、その品ごとの代金がかかります。
- くされ市と秋のべったら市は別の日に行けば両方楽しめますか。
- はい。同じ大伝馬町の通りで、初夏(5月ごろ)にくされ市、秋(10月19日20日)にべったら市が開かれます。時季を変えれば、同じ街で二つの市を味わえます。
- くされ市で売られている「べったら漬け」とは何ですか。
- 大根を米麹や砂糖で漬けた浅漬けで、表面がべたべたすることから名がついたとされます。この漬物が秋の市の名物になったことが、市が「べったら市」と呼ばれるようになった由来とされています。
