板絵着色お千世の図額 附目録とは

板絵着色お千世の図額 附目録とは、八重洲一丁目の日本橋西河岸地蔵寺教会に伝わる、泉鏡花の小説『日本橋』ゆかりの図額です。中央区公式では、区民有形文化財(歴史資料)として紹介される資料。絵画そのものに目録が付くため、資料名にも「附目録」と入ります。

お千世役への感謝から奉納された図額

この図額は、昭和13年(1938年)に新派俳優の花柳章太郎が地蔵堂へ奉納したものです。中央には、同作に登場する半玉の少女。図には俳優と泉鏡花の句、装幀・画を担った日本画家の小村雪岱の朱印などが確認できます。

背景には、その俳優が大正4年(1915年)の同名劇で半玉の役を得る前に、同じ地蔵堂へ祈願したという逸話があります。役を得て評価されたことへの報謝として奉納されたため、文学作品の小道具ではなく、舞台と信仰が結びついた地域資料として読むと立体的でしょう。

中央区公式では、員数を図額1点、附属する目録1通としています。つまり、絵だけを眺める資料ではなく、誰が、どのような経緯で奉納したのかを伝える記録性も含んだ文化財。日本橋の物語と、実際の町の信仰が交差する場所に置かれた資料です。

日本橋トピック♪1枚の額に、鏡花・雪岱・花柳が集まっている

この図額の面白さは、関係者の層の厚さです。物語を書いた泉鏡花、図を手がけた画家、役を演じた俳優、そして作中の少女。さらに奉納先は、物語にも深く関わる地蔵堂です。文学・美術・舞台・信仰が1点に重なるため、日本橋花街の記憶を読む手がかりになるはずです。

板絵着色お千世の図額 附目録に関するよくある質問

お千世とはどのような人物ですか?
泉鏡花の小説『日本橋』に登場する半玉(芸者見習い)の少女です。実在の人物ではなく作品の登場人物で、この図額にもその姿が描かれています。
小説の挿絵そのものですか?
小説本文の挿絵というより、劇の配役をめぐる祈願と報謝の逸話を背景に奉納された図額です。

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