熈代勝覧とは

熈代勝覧とは、文化2年(1805年)頃の日本橋の大通りのにぎわいを描いた絵巻物です。今の中央通りにあたる、神田の今川橋から日本橋までの大通りを、ずらりと続く店と行き交う人々ごと描き出した作品。江戸の街の日常が、そのままいきいきと伝わってきます。

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どんな絵巻なのか、何が描かれているか

絵巻には、大通りに面した問屋や店が88軒並び、その間を1,671人もの人々が行き交っています。人だけではありません。犬20匹・馬13頭・牛4頭・猿1匹・鷹2羽まで描き込まれ、武士も町人も物売りも、にぎやかに混ざり合う様子が一目で見て取れるのです。

注目したいのは、描かれているのが想像の町ではなく実在の店だという点でしょう。絵の中央あたりには、「丸に井桁三」の暖簾をかけた三井越後屋呉服店が見えます。越後屋は、商人の三井高利が日本橋の駿河町(今の日本橋室町)で大きくした呉服店で、現在の日本橋三越本店のルーツにあたる店です。200年以上前の日本橋に、今へ続くお店がすでにあったわけです。

原画はどこに、複製はどこで見られるか

意外なことに、原画は日本ではなくドイツのベルリン国立アジア美術館に所蔵されています。ベルリン自由大学の教授夫妻が親族の屋根裏部屋で見つけたものとされ、2000年に同館で初めて公開されました。「日本橋を描いた絵が日本橋にある」と思いがちですが、本物は海を越えた先にあります。

では日本橋では見られないのかというと、そうではありません。東京メトロ三越前駅の地下コンコースには、原画を約1.4倍に拡大した複製(長さ16.8メートル)が常設されています。2009年11月30日に公開されたもので、誰でも無料で眺められます。実物大より大きい行列を歩きながら追える、街歩きにうれしい展示です。

Topic「熈代勝覧」という変わった題名、誰がどんな意味でつけた?

絵そのものは作者が分かっていませんが、巻頭の題字は書家の佐野東洲が書いたものとされています。「熈代勝覧」とは、輝かしい御代のすぐれた景観を一覧する、といった意味だと説明されることが多い言葉。あまり見慣れない難しい四文字ですが、ひとことで言えば「よき時代の江戸の街を、まるごと見渡す」という、いわばこの絵巻のキャッチコピーのような題なのです。意味を知ってから眺めると、一場面ずつの見え方が少し変わってきます。

熈代勝覧に関するよくある質問

複製の絵巻は予約や料金が必要ですか?
いりません。三越前駅の地下にある複製は、通行する人が自由に眺められる常設展示で、料金もかかりません。
熈代勝覧に三越のルーツは登場しますか?
登場します。絵の中ほどに「丸に井桁三」の暖簾をかけた越後屋が描かれ、これが今の日本橋三越本店につながる店です。江戸の往来の中に実在のお店を見つけられます。
誰が描いた絵巻なのですか?
描き手は分かっていません。巻頭の題字だけは書家の佐野東洲によるものとされ、絵師の名は伝わっていない作品です。

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