小津和紙とは
小津和紙とは、東京都中央区日本橋本町に店を構える和紙の老舗です。承応二年(1653年)の創業から370年あまり、紙の専門店として日本橋で暖簾を守り続けています。読みは「おづわし」。和紙そのものの種類名ではなく、和紙を扱うお店の名前です。
伊勢から江戸へ、370年続く紙の店
始まりは承応二年(1653年)。伊勢松阪の出身だった小津清左衛門長弘(おづせいざえもんながひろ)が、江戸の大伝馬町(今の小津和紙の場所)で紙商を開いたのが起こりとされています。もとは紙問屋に奉公していた長弘が、店主の信頼を得て店を譲り受けたのが出発点だと伝えられています。奉公人から身を起こして暖簾を継いだ、というわけですね。
暮らしに紙が欠かせなかった江戸の町で、紙の需要をつかんで商いを広げました。現在は株式会社小津商店が運営し、和紙の店のほか、小津史料館・ギャラリー・文化教室を併せ持つ和紙文化の拠点になっています。創業は1653年ですが、今建つ小津本館ビルは1972年、創業300年の記念事業として建てられたものです。江戸時代の建物がそのまま残っているわけではありません。
和紙を買う、漉く、歴史を見る
店頭には、書道や日本画、版画、押し花、インテリアなどに使う和紙から和の小物まで幅広くそろいます。手漉き和紙の体験工房も併設していて、自分で一枚を漉く体験もできます(無地の和紙体験は約1,000円・所要約45分・要予約/2026年6月時点・公式サイト確認)。買うだけでなく、和紙づくりにふれられるのが特徴です。
店内の小津史料館では、小津家に伝わる古い帳簿や記録を見ることもできます。日本橋の街歩きの途中、紙に親しむ一軒として立ち寄ってみてはいかがでしょう。
Topic江戸で成功した「伊勢商人」の帳簿が、今も残っている
小津家のルーツは、伊勢松阪の商人です。江戸時代、伊勢から江戸へ出て商いで成功した人々は「伊勢商人」と呼ばれ、日本橋界隈には数多くの伊勢出身の店がありました。小津もその一つ。驚くのは、その商家の古文書が今も残っていることです。小津史料館には、東京都中央区の登録有形文化財に指定された古文書が2,000点あまり伝わり、そのうち約1,000点が順次公開されています。創業から370年あまり、老舗の現物の記録がこれだけまとまって残るのは珍しく、江戸の商いの様子をうかがい知る手がかりになっています。
小津和紙に関するよくある質問
- 「小津和紙」は何と読みますか?
- 「おづわし」と読みます。「おづがみ」ではありません。運営は株式会社小津商店で、屋号の小津は伊勢松阪出身の創業者・小津清左衛門長弘の姓に由来します。
- 小津史料館とは何ですか?
- 小津和紙が運営する史料館で、小津家に伝わる古文書を公開しています。東京都中央区の登録有形文化財に指定された約2,000点のうち、およそ1,000点が順次展示され、江戸からの商家の記録を見ることができます。
- 小津和紙はなぜ伊勢と関わりが深いのですか?
- 創業者の小津清左衛門長弘が伊勢松阪の出身で、江戸へ出て商いを成功させた「伊勢商人」の一人だったためです。日本橋界隈には同じく伊勢出身の商家が多く集まっていました。
