人形町せともの市とは
人形町せともの市とは、東京都中央区の日本橋人形町で毎年夏に開かれる陶器市です。水天宮交差点から人形町交差点までの人形町通りの歩道に、全国の産地から集まった焼き物や漆器、ガラス食器がずらりと並ぶ3日間。卸商社や窯元、作家が出店し、ふだんより手に取りやすい特別価格で買える、人形町の夏の風物詩として親しまれています。
毎年8月第1週の3日間ひらかれる陶器市
人形町せともの市は毎年8月第1週の月・火・水の3日間に開かれます。会場は地下鉄の人形町駅にほど近い人形町通り。水天宮交差点から人形町交差点までの歩道がまるごと売り場になり、運営するのは地元の陶器問屋でつくる東京蛎浜会(かきはまかい)のせともの市実行委員会です。
並ぶのは有田焼や伊万里焼、波佐見焼、美濃焼、九谷焼、益子焼など全国各地の焼き物に、漆器やガラス食器を加えた幅広い顔ぶれ。「年に一度の大蔵払(おおぐらばらい)セール」として特別価格で出品されるため、ふだんづかいの器を探す人でにぎわいます。初日の午後には、せとものへの感謝と将来の発展を祈る神事も行われます(2025年8月時点、中央区観光協会確認)。
なぜ人形町で陶器市が開かれるのか
陶器市が人形町で開かれるのには、街の歴史が深く関わっています。江戸時代、日本橋川と箱崎川にはさまれた人形町一帯は海路の便がよく、酒や砂糖、醤油などの生活物資が集まる場所として栄えました。なかでも隣り合う蛎殻町や浜町には陶磁器の問屋が多く集まり、関東一円の家庭の器をまかなっていたとされています。
せともの市そのものが始まったのは1954年(昭和29年)。問屋が在庫を整理する「蔵払い」を兼ねて開いたのが起こりとされ、そこから年に一度の恒例行事になりました。今は通りに焼き物が並ぶのは3日間だけですが、その背景にはかつての問屋街の記憶が息づいています。
「せともの市」という呼び名について
「せともの」と聞くと愛知県の瀬戸焼だけを思い浮かべるかもしれませんが、ここでは陶磁器の食器類をまとめて指す日常語として使われています。実際に並ぶのも瀬戸焼に限らず、有田・波佐見・益子など全国の産地の器。会場の人形町は東京都中央区で、大阪の日本橋(にっぽんばし)とは関係ありません。器を見にいく前に頭に入れておくと、当日まよわず楽しめます。
Topicせともの市は「消えた問屋街」の記憶をよみがえらせる行事?
今でこそ陶器市は夏の3日間だけのイベントですが、もとをたどると人形町・蛎殻町・浜町の一帯は、江戸から昭和にかけて60軒を超す陶磁器問屋が軒を連ねる「うつわの問屋街」でした。せともの市は1954年(昭和29年)に、その問屋たちが蔵払いを兼ねて始めたものです。運営する「蛎浜会(かきはまかい)」も蛎殻町・浜町の陶器問屋が母体で、団体名の「蛎」と「浜」はこの2つの町名にちなむといわれています。年に一度通りに器が戻ってくる光景は、いわば消えた問屋街の記憶を呼び戻す行事なのかもしれません。
人形町せともの市に関するよくある質問
- 初日の午後に行われる神事とは何ですか。
- せとものへの感謝と将来の発展を祈る神事です。器を「商品」としてだけでなく、生業を支えてくれた存在として敬う問屋街らしい習わしで、市の開幕を告げる役割も担っています(2025年8月時点・中央区観光協会確認)。
- ロクロや絵付けの体験はできますか。
- 会場ではロクロ・絵付けの体験教室が開かれます。2025年の第70回ではロクロ体験が1作品約2,000円、絵付け体験が約1,500円でした(いずれも税込・2025年8月時点)。
- 今も毎年開かれているのですか。
- はい。2025年8月に第70回が開かれており、毎年8月第1週に続く恒例行事です。新型コロナの影響で中止になった年もありましたが、その後は再開して続いています。
