コンテンツへスキップ
用語 食・名物

野菜の甘煮とは

野菜の甘煮とは、日本橋弁松総本店の折詰弁当に入る、根菜や麩などを甘辛く濃い味に煮た惣菜です。「甘煮」は「あまに」ではなく「うまに」と読みます。店が「筑前煮のような味だと思って食べると裏切られます」と書くほど、濃い甘辛さが持ち味です。

「うまに」と「あまに」は別の煮物

「うまに(旨煮・甘煮)」は、デジタル大辞泉によれば、肉や野菜を砂糖・酒・しょうゆ・みりんなどで濃いめの味に煮あげたもの。一方、同じ字を「あまに」と読むと、甘みを主体にして塩味を控えた煮物を指す別の言葉になり、豆やいも、果物などに使います。弁松の甘煮は前者で、店も「甘辛の味」と説明しており、甘いだけの煮物を想像すると驚くかもしれません。

なぜこれほど味が濃いのか

この濃さには、どんな理由があるのでしょう。弁松は理由をひとつに決めず、弁当として日持ちさせるため、肉体労働に耐えるカロリーのため、はっきりした味を好んだ江戸っ子の気風、といった説を挙げています。日本大百科全書によれば、弁当や折詰の煮物は旨煮の煮方をするもので、汁が少なくなるまで甘辛く煮るため冷めても味が変わらず、傷みにくいのが利点。店は「味を薄めるのは簡単です」としながら、薄めれば伝統の味がぼやけるとして、この味を伝え続けたいと書いています。店によると、甘煮が口に合うかどうかで弁松の弁当の好き嫌いが分かれ、ひと口目で驚いて離れた人が、しばらくして無性に食べたくなって戻ってくることも多いそうです。

「野菜」だけではない、折詰ごとの具材

弁松のお弁当一覧を見ると、甘煮にはどの折詰でもつと麩・里芋・筍・椎茸・絹さや(時期によりいんげん)が入り、そこへ折詰ごとの具が加わります。弁松の並六なら蓮根とごぼう、白詰と赤詰は蓮根と魚肉の揚げボール、本七にはちくわやほたてまで。「野菜の甘煮」は、野菜だけを煮た料理ではないのです。内容は季節で変わる場合がある、というのが店の注記です。単品の欄に「野菜の甘煮」という商品名は無く、さといも・竹の子・ごぼう・しいたけ・つとぶ・八ッ頭といった素材ごとのお惣菜が100g単位で並び、単品売りは本店と一部の店舗に限られます。

日本橋トピック♪「甘煮(ウマニ)」は江戸の本にも

「甘煮」と書いて「うまに」と読む書き方は、弁松だけのものではありません。精選版 日本国語大辞典は、旨煮の用例として、江戸時代後期の滑稽本『八笑人』(1820〜1849年刊)の「三杯酢か甘煮(ウマニ)か」という一節を挙げています。弁松の前身が日本橋魚河岸で食事処を開いた文化7年(1810年)と同じ、江戸後期の本です。店はこの読みを「甘い(あまい)は、甘い(うまい)」と説明しています。

野菜の甘煮に関するよくある質問

野菜の甘煮はどこで食べられますか?
弁松の折詰弁当は、料理の入るものなら甘煮がどれにも入っているので、本店(中央区日本橋室町一丁目・三越前駅から徒歩3分)や日本橋三越本店の本館地下1階の直営店などで折詰を選べば食べられます。直営店のほか百貨店やスーパーでも取り扱いがあり、営業時間は変わる場合があるため、出かける前に電話で確かめると確実です。

あわせて読みたい記事