用語 街・地名

芳町とは

芳町とは、東京都中央区の日本橋人形町あたりにあった旧町名で、かつての花街(芸者町)の名前です。読みは「よしちょう」。古くは葭町とも書きました。今は住所としては残っておらず、人形町や蛎殻町に受け継がれています。

目次

芝居町から芸者町へ

芳町のあたりは、江戸の初め頃には「元吉原」と呼ばれる遊里でにぎわっていました。1657年の明暦の大火をきっかけに、その吉原は浅草へ移ります(こちらが新吉原)。跡地の周辺には中村座などの芝居小屋が立ち並ぶようになりました。

やがて芝居小屋も浅草へ移転し、深川などから芸妓が移り住んだことで、芳町は芸者の花街として知られていきます。昭和の初め頃には、芸妓が700人を数えるほどのにぎわいだったとされています。日本橋に、これほど華やかな芸者町があったのです。

町名が消えても残る面影

華やかだった芳町ですが、戦後は少しずつ衰え、1977年(昭和52年)の町名改正で「芳町」という町名は姿を消しました。今その住所を地図で探しても見つかりません。エリアは日本橋人形町や日本橋蛎殻町に編入されています。

それでも、花街の面影がまったく消えたわけではありません。料亭建築の「よし梅芳町亭」は国の登録有形文化財として残り、当時の風情を今に伝えています。人形町あたりを歩くと、路地の奥にふと粋な気配を感じることがあるでしょう。

Topic「吉原」と「芳町」は、同じ言葉から生まれた?

このあたりは江戸の初め、葭(よし)という植物が生い茂る湿地でした。その「葭原(よしはら)」が、縁起のよい字をあてて「吉原」になったとされています。そして同じ「葭」から、町名の「葭町」、のちの「芳町」も生まれたといわれています。華やかな花街の名前のルーツが、水辺に茂る一本の草だったというのは、なんとも味わい深い話です。

芳町に関するよくある質問

「芳町」はなんと読みますか?
「よしちょう」と読みます。漢字から「ほうちょう」と読まれることもありますが、正しくは「よしちょう」です。
芳町と葭町は別の場所ですか?
同じ場所を指す表記違いです。古くは葭町と書き、のちに芳町の字があてられました。どちらも日本橋人形町あたりの花街を指します。
目次