首都高速道路日本橋区間地下化事業とは
首都高速道路日本橋区間地下化事業とは、日本橋川の上を覆う首都高速道路の高架を撤去し、道路を地下へ移す事業です。名橋・日本橋の真上を半世紀以上ふさいできた高架をなくし、川と橋に青空を取り戻すのがねらい。神田橋ジャンクションから江戸橋ジャンクションまでの約1.8キロが対象で、首都高速道路株式会社が進めています。地下ルートは2035年度、高架の撤去は2040年度の完成予定です(2026年6月時点)。

なぜ高架を地下化するのか
日本橋の上に首都高速道路が架けられたのは、高度経済成長のさなか、1960年代のことでした。建物が密集した都心で急増する交通に早く対応するため、川や道路などの公用地の上空が使われ、日本橋川の真上にも高架が通されたのです。国の重要文化財である日本橋が高架に覆われた姿は、景観の面で長く惜しまれてきました。
それから60年以上が過ぎ、高架は大きな課題をかかえています。1日あたり約10万台という過酷な交通量で、橋を支える部分の金属に疲労によるひびが入るなど、傷みが各所に出ています。首都高速道路会社は2014年にこの区間を含む大規模更新計画を策定しました。2016年に日本橋周辺のまちづくりが国家戦略特区の都市再生プロジェクトに加わったのを機に「首都高日本橋地下化検討会」で検討が進み、2019年に地下ルートでの整備が決まりました。
地下化のねらいは二つあります。一つは、老朽化した道路を、より長もちする構造へ造り替えること。もう一つが、高架に覆われてきた日本橋川と日本橋に、本来の景観を取り戻すことです。
「地下化」で道路はどうなる?よくある誤解
「地下化」と聞くと首都高そのものがなくなると思われがちですが、そうではありません。高架の道路を撤去するかわりに、ほぼ同じ区間を地下のトンネルで通します。車の流れはこれまでどおり保たれるわけです。これを可能にしているのが、道路の上や下に建物を建てられる「立体道路制度」という仕組み。
また、完成は「済んだこと」ではなく「これからの予定」です。工事は、2024年3月に呉服橋・江戸橋の出入口の撤去を終え、2025年4月5日から八重洲線を長期通行止めにして第2段階(地下を走る新しい首都高速道路へ)に入っています。地下ルートは2035年度、高架の撤去は2040年度の完成予定です。日付は今後変わる可能性もあるので、最新の情報は公式の発表で確かめるのが安心でしょう。
工事の今と、まちづくりとの関係
この事業は、日本橋一帯で進む再開発(まちづくり)と歩調を合わせて進められています。日本橋川の周辺は国の特区に指定され、ビルの建て替えなどが相次いでいます。道路の地下化と街の再生を一体で進める「日本橋再生計画」の一部といえる動きです。とくに日本橋一丁目や室町では、複数の街区をまとめた大きなビル開発が計画され、道路の地下化と足並みをそろえて街の姿も大きく変わろうとしています。
工事が進むあいだも、日本橋の麒麟像や日本国道路元標はこれまでどおり見学できます。高架があるうちの「川の上を高速道路が走る」風景も、あと数年で見納め。高架が消えたあとの川沿いを、水辺を生かした広場や遊歩道として整える構想も語られています。移り変わる途中の日本橋を歩くのも、今だけの楽しみ方です。
日本橋トピック♪青空は、もう一部戻っている
首都高速道路日本橋区間地下化事業に関するよくある質問
- 地下化が完成すると、首都高速道路は使えなくなりますか?
- いいえ。神田橋から江戸橋までの区間が地下トンネルに置き換わるだけで、車はこれまでどおり通行できます。なくなるのは地上の高架です。
- 地下化の工事はもう始まっていますか?
- はい。2020年に都市計画事業の許可がおり、2026年6月時点で工事は本格化の段階にあります。地下トンネルなどの工事が各所で進められています。

