にんべんとは

にんべんとは、1699年(元禄12年)に日本橋で創業した、鰹節とだしの老舗です。300年以上にわたって鰹節ひとすじの商いを続け、今は日本橋室町コレド室町1に「日本橋本店」を構えています。削りたての鰹節やだしを味わえる店として、食いしん坊にも観光客にも親しまれてきました。

にんべんの歩みを4ステップで示し、屋号の由来と創業地から現本店への移転を添えた概念図
目次

にんべんの歴史

にんべんの始まりは、江戸も中ごろの1699年(元禄12年)。伊勢国(今の三重県四日市あたり)に生まれた初代髙津伊兵衛(たかついへえ)が、20歳のときに日本橋で戸板を並べ、鰹節と干物類の商いを始めたのが起こりです。場所は日本橋四日市の土手蔵、今の日本橋一丁目あたりでした。伊勢から江戸へ出てきた一人の若者が、戸板の上の小商いから老舗の礎を築いたわけです。

小さな商いはやがて評判を集め、老舗へと育っていきます。1720年(享保5年)には、初代みずから「現金掛値なし」の看板を掲げました。これは掛け売りやかけ引きをせず、誰にでも同じ正価で売るという、堅実で正直な商いの姿勢です。今でいう「正札販売」にあたるこの商いが、確かな信用を生みました。

さらに天保の頃(1830年代)には、銀の薄板でつくった商品券を発行しています。これは日本の商品券の先駆けのひとつとも言われ、鰹節を贈り物にする文化を支えました。江戸の商人らしい工夫の数々が、300年の歴史を形づくってきたのです。

創業の地と、今の本店

「1699年創業」と聞くと、同じ建物で300年続いていると思いがちですが、そうではありません。創業の地は日本橋一丁目の土手蔵(現在の野村證券本社付近)。一方、今の日本橋本店は日本橋室町2-2-1のコレド室町1にあり、2010年に開業しました。

つまり「創業1699年」は会社の歴史であって、今の店の建物の古さではありません。場所も建物も移り変わりながら、鰹節を商うという中身だけが300年変わらず受け継がれてきた。それがにんべんの「老舗らしさ」だといえます。

日本橋本店の楽しみ方

コレド室町1の日本橋本店には、鰹節とだしを五感で味わえる仕掛けがそろっています。削りたての鰹節を提供する「日本橋削り場」では、ふわりと薫る本物の香りが出迎えてくれるでしょう。だしを味わう「日本橋だし場」や、「一汁一飯」をテーマにしたスタンディングバーも併設され、買い物のついでに気軽に立ち寄れます。

営業時間は月曜から金曜が11時から19時、土日祝は10時30分から19時。1月1日を除き、おおむね年中無休です(2026年6月時点・公式サイトで確認。コレド室町1に準じます)。だしの取り方に自信がない人も、ここで一杯味わえば、家庭の味噌汁がちょっと変わるかもしれません。日本橋らしい「食の老舗めぐり」の起点にちょうどよいお店です。

Topic「にんべん」という名前は、どこから来た?

ひらがなの「にんべん」という屋号は、じつは漢字の部首「人偏(にんべん)」からきています。1705年、初代は暖簾の印(商標)に、出身の「伊勢屋」と「伊兵衛」の頭文字『イ』=人偏をとり、さらに商売を堅実にという願いを込めて、ものさしの「曲尺(かね)」の記号と組み合わせ「カネにんべん」としました。これを見た江戸の町の人々が、いつしか「にんべんさん」と呼ぶようになったのです。お店の名前そのものが、初代の名前と「堅実な商い」への願いを刻んだ、小さな看板になっているというわけです。

にんべんに関するよくある質問

にんべんの日本橋本店は「コレド室町テラス」にありますか?
いいえ。本店があるのはコレド室町1で、名前のよく似た「コレド室町テラス」とは別の建物です。間違えやすいので、訪ねるときは気をつけてください。
鰹節を贈り物にする習慣と、にんべんは関係がありますか?
関わりがあります。古くから鰹節は縁起のよい贈答品とされ、にんべんは天保の頃に銀でつくった商品券を世に出して、その贈り物の文化を支えてきました。

にんべんに関連する記事

目次