東京・日本橋地域の最北端に位置する『馬喰町』。JR総武線の馬喰町駅や都営新宿線の馬喰横山駅が最寄りとなりますが、ちょっと不思議な名前をしています。
字面だけを追うと「馬を喰う」と書くため、怖い・不気味と感じる方もいるかもしれません。
私も馬刺しの名所なのかなと初めは思いました。
しかし馬喰町の歴史を紐解くと字面のイメージとは全く違う過去がありました。
今回はそんな馬喰町の由来と歴史をご紹介いたします。
【馬喰町の名前が怖いと話題に 】
馬喰町に対するネットの反応を見てみると…
>馬喰町って名前怖
>馬喰町って地名怖すぎない?
>馬喰町は名前が怖すぎる。絶対に怖くなさそうな人が乗ってくるけど。
このように一定数の方が駅名などを見て字面が怖いと感じるようです。
確かに…と思いつつ日本橋専門の当メディアは馬喰町にそんなネガティブなイメージを持ってほしくありません。
その名の由来を知ればなるほど!と思っていただけるはずです。
【馬喰町の歴史や名前の由来について】
馬喰町の由来は約450年前の江戸時代・天正まで遡ります。
江戸時代には幕府の中に『馬労(博労)』(バロウ・バクロウ)という役職を与えられた役人がいました。
馬喰町はこの『馬労』に由来します。
『馬労』(バロウ)とは馬や牛の売買の仲介人のことで、各地の馬の市場へ出向いて馬を競り落とし、転売する仕事です。
馬労は『博労』(バクロウ)という言葉から来ています。博労には獣医という意味もあり、これは中国の『伯楽』という言葉が由来です。
『伯楽』とは中国春秋時代にいた馬を見分ける名人の名です。
これが転じて馬の良否を見分ける者を『伯楽』(ハクラク)と呼ぶようになり、日本に伝わりました。
江戸時代の『馬労』という役人の名は『伯楽』⇒『博労』⇒『馬労』と転じてきたわけです。
ではなぜ馬労が馬喰町の由来なのでしょうか。
それは江戸時代の馬労頭(馬労のトップ)であった”高木源兵衛”が現在の馬喰町に住んでいて、この地にあった『初音の馬場』を管理していたからです。
『初音の馬場』という名は近くにあった初音稲荷からきています。ミクみたい。
馬場は馬を並べたりする広場のことです。この初音の馬場にも歴史があります。
初音の馬場は高木源兵衛が管理するより以前、関ケ原の戦いで徳川家康が馬揃え(兵馬を一カ所に集めて鑑賞する武士の行事)をした場所でした。歴史的な土地だったんですね。
馬喰町は徳川家康が関ケ原の戦いという大一番を前に、馬揃えという重要な行事を行った場所ということです。
ここまで読んで頂ければ馬喰町への怖いイメージは払拭できたかなと思います。
【名前が怖い馬喰町はほかの地域にも】
字面だけを見ると「怖い」と思ってしまいがちな馬喰町ですが、実は日本橋以外にもこの名前がついた地域が存在するのです。
たとえば青森県弘前市の馬喰町や、秋田県大館市の馬喰町などがあります。
ほかにも…
・京都府京都市上京区馬喰町
・愛知県名古屋市西区馬喰町
・青森県三戸郡三戸町馬喰町
・群馬県沼田市馬喰町
読み方は「ばくろちょう」「ばくろまち」「ばくろうまち」と、地域によって異なるのが特徴です。
さらに、日本各地には「博労町」や「白楽町」といった地名も存在します。
こんなにも馬労にちなんだ地名が国内の至るところにあるだなんて知りませんでした!
【馬喰町ってどんな街?】
馬喰町の地名に対するマイナスなイメージは払拭できたかと思いますが、中には「馬喰町って治安が悪いのでは?」とまだ怖いイメージを持たれている方もいらっしゃるでしょう。
結論からいうと、馬喰町は決して怖い街ではありません。
警視庁が公表している「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数(2022年度)」のデータを参考に、日本橋馬喰町の治安情報をエリア別にまとめてみました。
凶悪犯:0件|粗暴犯:1件|侵入窃盗:0件
非侵入窃盗:9件|その他:6件
凶悪犯:0件|粗暴犯:2件|侵入窃盗:0件
非侵入窃盗:5件|その他:3件
・凶悪犯(強盗など)
・粗暴犯(暴行・傷害など)
・侵入窃盗(空き巣・居空きなど)
・非侵入窃盗(車上ねらい・ひったくりなど)
・その他(詐欺など)
2022年度に馬喰町1丁目で発生した犯罪件数の総合計は16件、馬喰町2丁目は10件となっています。
東京駅のある千代田区丸の内1丁目では年間で324件の犯罪が発生していますが、それに比べると馬喰町は住みやすい街であることがわかりますね。
女性の一人暮らしにもピッタリです!
馬喰町の治安や警察の場所については、以下▼の記事でも解説しています。
馬喰町の治安は悪いのか色々と調査|警察の場所もチェック【住むにはどうなのか】
【馬喰町には何があるのか】
ではそんな馬喰町に何があるのか、馬喰町の魅力をご紹介します。
馬喰町は日本最大の問屋街です。業者の仕入れ用の店が大半で一般向けの店は少数です。
タオル屋、傘屋、手ぬぐい屋、旗屋など様々な専門店が軒を連ねています。
そんな問屋街がメインですが、古き良き街並みの中にオシャレなカフェもあります。
■ bakuro COMMON(バクロコモン)
住所:東京都中央区東日本橋3-12-7 鈴森ビル 1F・2F
アクセス:都営浅草線 東日本橋駅B4出口より徒歩1分
JR総武線・都営新宿線 馬喰町・馬喰横山駅A4出口より徒歩2分
東日本橋駅から138m
営業時間:【月~金】11:30~23:30
【土】12:00~23:30
【日・祝】12:00〜22:00 無休
オシャレな内観が魅力!『メレンゲの気持ち』にも紹介されたとのこと。
お食事がメインでイタリアンが主です。夜にはお酒も飲めるのでいろいろなシーンでご利用できると思います。
■ BERTH COFFEE
(公式サイト”BERTH COFFEE | CITAN | Hostel, Cafe, Bar, Dining (backpackersjapan.co.jp)”より引用)
住所:東京都中央区日本橋大伝馬町15-2
アクセス:都営新宿線「馬喰横山」(徒歩5分) JR総武線快速線「馬喰町」(徒歩5分)
営業時間:[月〜金]8:00~19:00(L.O)
[土・日・祝]8:00~19:00(L.O)
日曜営業
ホテルCITIANの1階にコーヒースタンド、地下に座席があります。
自社で焙煎したこだわりの豆を使用しているとのこと。コーヒー好きの方にオススメです。
地下は落ち着いた雰囲気でオシャレなつくりになっています。
なお夜はバーとして営業しています。
■ ともすけ(ともすけ (tomosuke.jp))
住所:東京都中央区日本橋小伝馬町20-4 東洋ハットビル1F
アクセス:馬喰横山駅から211m
営業時間:[火~金]18:00~23:00
[土]18:00~22:00
月曜・日曜定休(祝日は営業)
駅からちょっとありますが個人的にとてもオススメな隠れ家的居酒屋です!
隠れ家的な居酒屋らしく公式HPには写真がありません…
オリジナリティにあふれた多彩な西洋料理が楽しめます。
コスパもよし、お酒もおいしい。お店のオシャレな雰囲気も相まってとてもオススメしたいお店です。
おしゃれなアートギャラリーも充実
近年、馬喰町の周辺にはおしゃれなアートギャラリーも多数進出しています。
その中でも面白そうなギャラリーを見つけたのでご紹介したいと思います。
それが、2019年にオープンした「PARCEL」です。
伊藤桂司『VERDE CÓSMICO / ヴェルデ・コスミコ』馬喰町 PARCEL
宇宙にむき出しになったような緑の夜気と、白い半地下のギャラリーの冷気がとても似合っていてよかった。
遠いところへ行きたくなる展示でした。 pic.twitter.com/3tcIpJxPcG— kotone (@kotone) October 1, 2022
「PARCEL」はDDD HOTELの一角にあり、立体駐車場だったところを改装したアートギャラリーになります。
・橋本 知成
・森 靖
・小畑 多丘
・箕浦 建太郎
など、国内外で活躍する作家さんの個性豊かな作品が展示されています。
アートを鑑賞し、気に入ったものは購入することも可能です。
日本橋馬喰町のPARCELにて箕浦建太郎さんの個展「き」拝覧。とても良かった。記憶の堆積から浮かび上がってきたような生き物のような何か。 pic.twitter.com/s5J1kBvzaX
— あ太郎 (@ataro_art) January 28, 2020
また、隣接するビルの1〜3階にもギャラリーがあり、思う存分にアート鑑賞を堪能できます。
アートに興味がある方もそうでない方も、気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか。
慌ただしい日常を忘れ、のんびりと過ごすことができるでしょう♪
〜PARCEL〜
住所:東京都中央区日本橋馬喰町2丁目2-1 DDD hotel内 1F
開館時間:14:00〜19:00
休館日:月・火
入館料:無料
アクセス:JR総武線馬喰町駅C4出口より徒歩1分
公式HP:https://parceltokyo.jp/
【馬喰町の名前が怖いという件のまとめ】
「馬喰町=怖い」といったイメージを持たれることが多いですが、馬喰町は歴史ある街で、その名前には江戸時代からの由来があります。
古き良き街の中には、今風のオシャレなお店や隠れ家的なお店が点在しています。
ぜひ一度ぶらぶらしてみてください。きっと素敵な発見ができると思います。
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