常盤橋擬宝珠とは

常盤橋擬宝珠とは、江戸時代に日本橋川の常盤橋(ときわばし)に架かっていた木の橋を飾っていた、青銅製の擬宝珠(ぎぼし)です。擬宝珠とは、橋や神社の欄干の柱の頭につける、玉ねぎのような形の飾りのこと。2基が中央区の文化財として保存されています。

明暦の大火の翌年に鋳られた橋飾り

2基のうちの1基には、「明暦四戊戌年(1658年)」という年号が刻まれています。これは江戸の大半を焼いた明暦の大火(明暦3年・1657年)の翌年。さらに鋳物師(いものし)「椎名兵庫頭吉綱」の名も刻まれ、誰がいつ造ったかまで分かる貴重な資料になっています。これらの擬宝珠には、後の文化3年(1806年)に加えられた追刻(あとから刻まれた銘)や人名も見られます。360年以上の時を超えて、江戸の橋の装飾が今に伝わっているのです。

「橋の跡」や「石の橋」とは別もの

このあたりは名前が紛らわしいので整理しておきましょう。江戸城の門の跡である常盤橋門跡や、明治期の石造アーチ橋とは違い、この擬宝珠は江戸時代の木の橋を飾っていた部材です。今は橋には付いておらず、新富一丁目の郷土資料館で大切に保管されています。橋を歩いて探しても見当たらないので、実物に会いたい人は資料館を訪ねてみてください。

日本橋トピック♪橋の飾りに「いつ・誰が造ったか」が刻まれていた

常盤橋の擬宝珠がとりわけ貴重なのは、年号と職人の名前がはっきり刻まれている点です。1基には明暦4年(1658年)の年号と、鋳物師「椎名兵庫頭吉綱」の名。江戸を焼き尽くした大火の翌年に、復興の橋へ据えるために造られた一品だと分かります。何気ない橋の飾りに見えて、いつ・誰の手で生まれたかを語る歴史資料なのです。金属だからこそ火災や災害をくぐり抜け、今に残ったともいえます。

常盤橋擬宝珠に関するよくある質問

常盤橋擬宝珠はいつ文化財に登録されたのですか?
平成27年(2015年)に、中央区の区民有形文化財(歴史資料)として登録されました。江戸の金属工芸を伝える資料です。
本物の擬宝珠はどこで見られますか?
中央区立の資料館に保存・展示されています。橋のたもとを探しても付いていないので注意してください。
常盤橋擬宝珠と常盤橋門跡は同じものですか?
いいえ。門跡は江戸城の門があった場所、擬宝珠は橋の手すりを飾っていた金具で、まったくの別物です。

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