「養母世稲荷(ようぼせいなり)」とは、女性とお子さまの守り神のことです。
江戸時代に実在した人物で、日本橋人形町に鎮座する「末廣神社」に祀られています。
この記事では、末廣神社や養母世稲荷について、歴史と共に詳しく紹介します。
末廣神社に祀られている他の神様についても触れているので、ぜひ最後までお読みください!
日本橋人形町の末廣神社について
日本橋人形町の「末廣神社(すえひろじんじゃ)」は、勝運や金運のご利益がある神社です。
大都会のビルに囲まれ、ひっそりと鎮座しています。
▼末廣神社の鳥居と社殿
末廣神社が建てられた時期は、明らかになっていません。
ただ、安土桃山時代の1596年には鎮座していたことが、古文書に記録されているそうです。
江戸時代、人形町あたりに遊郭・吉原が誕生し、末廣神社は賑やかな町の中で多くの人から崇められていました。
吉原が移転したあとも、周りに住む人々から信仰され続け、現在に至ります。
末廣神社の社殿は、1945年の東京大空襲で焼失しますが、1947年に再建されました。
境内には多くの奉納品があり、深く信仰されてきたことがわかります。
▼台座に「奉」と書かれた狛犬の像
▼「奉納」と書かれた手水舎(ちょうずしゃ)
社殿にも「奉納」や「奉献」と書かれた奉納品が置かれています。
末廣神社のアクセス情報や詳しいご利益については、人形町の末廣神社のご利益やアクセス情報【他の神社との違いも】という記事で紹介しているので、あわせてご覧ください!
女性とお子さまの守り神「養母世稲荷(ようぼせいなり)」とは
女性とお子さまの守り神である「養母世稲荷(ようぼせいなり)」とは、末廣神社に祀られているお稲荷様のことです。
養母世稲荷は、江戸時代に実在した女性で、高砂町の助産師でした。
高砂町は、現在の日本橋富沢町(末廣神社の近く)です。
のちに養母世稲荷となる女性は、親に見捨てられた子供を育てたり、働く女性の子供を預かったりしていたそうです。
周りに住む人は、彼女の徳の高さに感銘を受け、活動を支援するようになります。
多くの母子を助け続けた彼女は、その生き様が称えられ、亡くなったあとは養母世稲荷として崇められました。
町の人によって、神社まで建てられたそうです。
養母世稲荷が祀られていた神社は、町の人に管理されていましたが、のちに縁があった末廣神社に預けられます。
こうして養母世稲荷は、末廣神社の御祭神となったのです。
養母世稲荷の生前の活動を知ると、女性とお子さまの守り神であることも納得できますね!
末廣神社に鎮座するお稲荷様の遣い
末廣神社の境内にある木の根元には、小さな祠(ほこら)があります。
祠に鎮座しているのは、お稲荷様の遣いであるキツネの像です。
▼祠とキツネの像
小さい狛犬の像や、鳥居もあります。
近くに養母世稲荷の説明書きが貼られているので、この祠に養母世稲荷が祀られているのでしょう。
▼養母世稲荷の説明書き
養母世稲荷は、徳を高める神様としても崇められているようですね。
また、祠の近くには「末廣徳の石」や「は組の石碑」もあるので、簡単に紹介します。
▼末廣徳の石
末廣徳の石は、さまざまな徳を授けてくれるそうです。
以下の手順でお参りします。
- 石に置いてあるお盆の上にお金を乗せる
- 手を合わせ「いや、すえひろがり」と心で唱える
- お盆に乗せたお金を持ち帰る
末廣徳の石でお参りしたお金は、使うと徳運が広がり、貯めると徳運が貯まると言われています。
▼は組の石碑
は組とは、江戸時代の「火消し」のことです。
現在の消防団員のようなもので、火災が多かった江戸時代に活躍していました。
末廣神社が鎮座している日本橋人形町あたりは、は組に守られていたと言われています。
末廣神社は、火災が起きないことを願う火消しや住民からも崇められてきたのです。
末廣神社に祀られている養母世稲荷以外の神様
末廣神社には、養母世稲荷のほかにも、以下の神様が祀られています。
- 宇賀之美多麻命(うかのみたまのみこと)
- 毘沙門天(びしゃもんてん)
宇賀之美多麻命は、稲の神様です。
「お稲荷様」とも呼ばれており、五穀豊穣や商売繁盛のご利益があります。
養母世稲荷もお稲荷様なので、末廣神社には2柱のお稲荷様が祀られていることになります。
毘沙門天は、財宝や戦の神様です。
日本橋七福神の1柱としても信仰されており、財運や勝運、無病息災などのご利益をもたらしてくれます。
日本橋七福神について紹介している、日本橋の七福神めぐり|正月以外にめぐるメリットはあるの?という記事も必見です!
まとめ
日本橋人形町に鎮座する末廣神社は、江戸時代から現在まで、多くの人に崇められてきました。
末廣神社には、女性とお子さまの守り神である養母世稲荷が祀られています。
養母世稲荷は、江戸時代に多くの母子を助けた助産師です。
守り神になるほど徳の高い女性なので、ぜひ一度お参りしてみてください!
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!