こんにちは!
とーんと♡日本橋編集部です。
2025年は日本画界の巨匠・小泉淳作氏の生誕100年という記念すべき年。
「孤高の画家」と呼ばれた彼の作品が一堂に会する貴重な機会が、なんと日本橋高島屋にやってくるんです♪
建長寺の雲龍図、建仁寺の双龍図、そして東大寺の襖絵…
普段はなかなか目にすることができない名作の数々を、間近で鑑賞できるなんてワクワクしませんか?
今回は小泉淳作氏の人生ストーリーから展覧会の見どころ、さらには作品の市場価値までご紹介します!
小泉淳作とはどんな人?日本画界の”孤高の巨匠”が歩んだドラマチックな人生

shutter stockより(ID:2386075243)
小泉淳作氏は1924年に鎌倉で生まれ、2012年に87歳でこの世を去った日本画家・陶芸家です。
なんと政治家小泉策太郎の七男として生まれ、俳優の小泉博さんを弟に持つという、まさに華やかな一族の出身でした。しかし5歳という幼さで実母を亡くし、東京で育った彼の道のりは決して楽なものではありませんでした。
文学青年から画家への大転身
若い頃の小泉淳作氏は、慶應義塾幼稚舎から普通部、そして大学予科の仏文学科へ進み、フランス文学に夢中だったそうです。
ところが同級生で後に小説家となる安岡章太郎氏の才能を目の当たりにして「これは敵わない…」と感じ、なんと画家への転身を決意!
1943年、慶應大学を中退して東京美術学校(今の東京藝術大学)日本画科に入学し、山本丘人先生のもとで日本画の世界に足を踏み入れました。
◾️戦争と病気を乗り越えて
戦時中は学徒出陣で応召されましたが、結核という病気に見舞われ療養生活を送ることに。
この辛い時期を経て1948年に復学し、1952年に東京美術学校を卒業した後は、生活のためにデザイナーとして働きながら絵を描き続けました。
そして1954年、第18回新制作展に「花火」「床やにて」が初入選!
ここから本格的な画家人生がスタートしたんです。
◾️40代で運命の出会い!中国絵画との出会い
小泉淳作氏の画風が劇的に変わったのは、40代半ばに中国の唐画・宋画と出会った時でした。
この出会いがまさに人生の転機となり、深遠な山水画の世界にどっぷりとハマっていくことになります。
特定の美術団体に属さず、画壇とも一定の距離を保った姿勢から「孤高の画家」と呼ばれるようになった小泉淳作氏。
約70年という長い創作活動の中で、鎌倉・建長寺の「雲龍図」(2000年完成)、京都・建仁寺の「双龍図」(2002年)、そして奈良・東大寺本坊の襖絵全40面(2010年完成)など、日本を代表する名刹に数々の傑作を奉納されました。

日本橋高島屋で開催!生誕100年記念展の絶対見逃せないポイント
そんな小泉淳作氏の作品を見れる機会が日本橋高島屋に訪れます。
2025年7月30日から8月18日まで、日本橋高島屋S.C.8階ホールで開催される「生誕100年記念 小泉淳作展」。
これはもう、日本画ファンなら絶対に足を運びたい展覧会です!
<入場料・アクセス>
一般:1,200円(1,000円)
大学・高校生:1,000円(800円)
中学生以下:無料
※()内は前売り料金
東京メトロ銀座線・東西線「日本橋駅」B1・B2出口直結
JR東海道本線「東京駅」八重洲北口より徒歩5分
都営浅草線「日本橋駅」D3出口より徒歩4分
また、会場では展覧会オリジナルグッズや図録も販売予定とのことで、特に図録は小泉作品の決定版として、ファン必携のアイテムになりそうです!
また、展覧会の後は日本橋高島屋のレストラン街で一息つくのもおすすめです。
12階と14階にあるレストラン街では、老舗の味から最新グルメまで幅広く楽しめます。
圧巻の東大寺襖絵が日本橋に降臨
会場に入った瞬間、きっと息を呑むはず。
なんと現時点での公開情報によると普段は奈良の東大寺で厳重に保管されている40面のうち、なんと28面が特別公開されるみたいです。金箔地に映える《蓮池》や《鳳凰》の荘厳な筆致は、まるで時が止まったような神々しさで一見の価値ありです・
展覧会は4つの章で構成されていて、小泉淳作氏の創作の変遷をじっくり味わえる構成になっています。
第1章「初期の作品」 では、戦後間もない時期の《顔》の連作が展示されています。
ルオーやビュッフェの影響を感じさせる太い輪郭線と深い陰影が印象的で、岩絵具を塗っては洗い落とすという独特な技法で生まれた質感は、戦後復興期の重い空気感を物語っています。
第2章「水墨山水画」 では、1980年代からの水墨の世界が広がります。
磐梯山や白山を描いた作品群は、現地に何度も足を運んで烈風の中で写生を重ねたというエピソードが残っているそう。
墨の濃淡だけで山肌の質感や大気の流れまで表現された《白山残照》は、自然の「気」を捉えた小泉美学の真髄です。
第3章「花卉画」 では、60代以降に深化した植物描写の世界へ。
冬瓜や蓮を題材にした作品群は、単なる写実を超えて存在そのものの尊厳を描き出しています。
87年の《冬瓜図》なんて、表面の凹凸やシミまで克明に表現されていて、まるで千年の時を経た化石のような風格を放っているんです。
最終章の《東大寺本坊襖絵》では、16面にわたる《蓮池》の襖を開け放つと、目の前に金地に映える青蓮の群落が広がります。しかも展示室の照明が時間帯によって変化する演出付き!
朝霧に煙る蓮池から夕暮れの水面まで、一日の移ろいが再現される仕掛けは本当に必見です。
本当は写真などあればいいのですが著作権の関係で写真は載せられず申し訳ないです…
写真が気になる方は株式会社高島屋のプレスリリースに載ってますのでご覧ください。
会場の随所に配置された解説パネルには、小泉淳作氏が残した制作ノートの言葉が引用されていて「絵とは自然と対話するための媒介である」という信念が全作品に込められているのを感じられます。
日本橋高島屋の洗練された展示空間と相まって、小泉芸術の神髄がより一層際立つ展覧会になっています。
気になる!小泉淳作作品のお値段は?オークション市場をのぞいてみよう
「小泉淳作の作品って実際いくらぐらいするの?」
と思われる人もいらっしゃると思います。
オークション市場では、実はかなり幅広い価格帯で取引されているんです。
小品の版画作品なら1,000円台から3万円前後が相場ですが、寺院の天井画や襖絵に関連する作品、限定版のシルクスクリーンなどになると数十万円から100万円を超える高値がつくことも!
(個人出品のオークションだと贋作がある可能性もあるためご注意ください)
購入時は真作証明書をチェック!
作品購入を検討する際に絶対に重要なのが、真作証明書の有無と来歴の明確さです。
2022年には「床やにて」の習作と称される作品がオークションに出品されましたが、専門家の鑑定により模写と判明し、最終的に取引がキャンセルされる事例も発生しています。
信頼できる鑑定機関として一般財団法人東美鑑定評価機構があり、同機構の認証がある作品は市場価値が平均15%高くなるという調査結果も出ています。

shutter stockより
ちなみに調べたところ、記事執筆時点ですと例えば2024年に落札された「雲龍図」の複製画は約10万円、2010年に東大寺に奉納された襖絵の関連作品は約15万円という値段がついていました。
・人気が高いのは”あの”寺院関連作品
特に需要が高いのは、建長寺や建仁寺といった有名なお寺との関わりを示す作品です。
2025年5月時点の最新データによると、「双龍図」をモチーフにした銅版画は5万円から7万円ほどで落札されていて、直筆サインや限定番号が入った作品ほど高値になる傾向があります。
まとめ
小泉淳作氏の生誕100年記念展は、日本画の真髄に触れられる貴重な機会です。
戦後復興期から平成の世まで、時代と真摯に向き合い続けた「孤高の画家」の軌跡を、ぜひ日本橋高島屋で体感してみてください。
オークション市場での作品価格も上昇傾向にあり、今回の展覧会がさらなる注目を集めるきっかけとなりそうです。
アートファンはもちろん、日本の美意識に興味がある方にもおすすめの展覧会です!
※記事内容は執筆時点のものです。